「OKI MediaServer」によるIPv6未構築のシンガポールとフィリピンへのIPv6映像配信実験に成功

最先端IPTV関連技術の配信も実施、ITU-TのIPTV標準の普及に貢献

OKIは、映像配信システム「OKI MediaServer」を用いて、ITU-T(注1)のIPTV標準(注2)を普及させるための活動の一環として、IPv6未構築国であるシンガポールとフィリピン2カ国に対するIPv6映像配信のほか、最先端IPTV関連技術を利用した4K(注3)映像の配信およびインターネット上のサービスと連携した新しいIPTVアプリケーションの可能性を示す実験を実施し、成功させました。

HTB北海道テレビ(以下、HTB)が開発したLIME(注4)標準仕様のコンテンツ(注5)を「OKI MediaServer」で配信する映像配信実験環境「ITU IPTV IPv6 Global Testbed(注6)(以下、テストベッド)」を用いて実施したもので、これまで配信を実施したスイスのITU-T本部およびアラブ首長国連邦ドバイに加え、今回新たにシンガポールとフィリピンに対し配信実験を行い、これまで接続不可能であったIPv6未構築国への配信に成功しました。本実験は、2013年2月5日から7日までの3日間、独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)主催の「さっぽろ雪まつり映像配信実験」において行われたものです。

今回実施した各種実験は以下のとおりです。

IPv6未構築国・地域向け配信実験

IPv6未構築国であるフィリピンは、既設IPv4ネットワーク上にLinux®のIPv6 over IPv4機能(以下、トンネル機能)を用いて、IPv6ネットワークを構築し、札幌の本テストベッド側は、「OKI MediaServer」へ直接IPv4でハイビジョン品質の映像を配信する機能を実装し、接続不可能であった国・地域におけるIPv6映像配信の検証を実施。

最先端の映像通信技術を利用した4K映像配信実験

JGN-X(注7)が本実験のために構築したOpenFlow(注8)のSDN(注9)であるRISE(注10)による4K映像配信を行うため、一端末につき120Mbpsの配信を二か所(札幌から、シンガポールと大手町)の端末に向けて行い、MEDIAEDGE株式会社が開発した4Kエンコーダ製品の出力をIPTVのヘッドエンドに入力して同社の4Kデコーダ製品に向けて配信し、株式会社東芝製4Kテレビで各拠点間での視聴検証を実施。

インターネット上のサービスと連携した新しいIPTVアプリケーションの可能性を示す実験

IPTVとSNS連携

視聴者側の端末で、IPTVの高品質映像とそれに関連したTwitter®の情報を同時に表示することを可能とし、同時に映像コンテンツをSNSを通じて楽しむという利用形態を実現するため、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が開発したTwitterとIPTVとの連携技術の検証を実施。

インターネット上の字幕サービスとIPTVの融合

株式会社アステムの提供するインターネット上の字幕サービスのコンテンツを利用し、LIMEのインターネット連携機能で、IPTV映像コンテンツの進行に同期をとって配信することにより、視聴者側の端末から選択した言語で視聴するサービスの検証を実施。

実験内容詳細

今回新たに拡張したシンガポール、フィリピンでの各国間との配信実験において、シンガポールでは、国立研究機関であるシンガポール国立インフォコム研究所(以下I2R)に、MEDIAEDGE株式会社の4K端末および住友電工ネットワークス株式会社のHD端末(STB(注11))を設置し、従来のハイビジョン品質のVOD(注12)視聴、NTTエレクトロニクス株式会社製リアルタイムエンコーダで作成されたライブ映像視聴をI2Rとテストベッド間をJGN-Xとシンガポール先端研究教育ネットワーク(SingAREN)によるSDNで構築し、配信実験を成功させました。一方、フィリピンでは、アテネオ・デ・マニラ大学およびフィリピン長距離電話会社(Philippine Long Distance Telephone Company:PLDT)に、それぞれ、IPTV対応TVおよびシンガポールと同様のHD端末を設置し、従来のIPTVのVOD、ライブおよび、4Kを除く新たな機能の実験を成功させました。

また、フィリピンの視聴箇所とテストベッドとの間については、トンネル機能を用いて接続し、ハイビジョン品質の映像(9Mbps)が視聴できることを確認しました。これにより、トンネル機能がIPv6ネットワーク未構築でテストベッドと接続不可能であった国との映像配信を可能にすることが実証されました。また、両国間の実験において、既存の衛星放送のように映像と字幕などを重畳して1つのストリームとして放送する方法と比較すると、字幕の言語、レイアウトなどを視聴者に合わせて、柔軟に対応することが可能となり、アクセシビリティが向上できることも確認できました。

OKIでは、今回の実験結果を踏まえ、テストベッドによるIPTVの普及対象範囲を、IPv6普及前の国・地域、既に導入しているが今後4Kなどさらに高画質化を検討する国・地域、アクセスビリティの向上やSNS連携など付加機能をもった映像サービスを検討している国・地域にも拡張していきます。さらに、今後も、市場ニーズに合わせた機能の拡張、拡張した機能の標準化の推進、普及活動を行い国内外のサービス事業者にとって魅力ある映像配信プラットフォームの事業展開を進めていきます。

なお、本実験の一環として、4月22日から25日に京都大学で開催されるITUカレイドスコープ会議で映像配信展示を行う予定です。

映像配信実験環境 ITU IPTV IPv6 Global Testbed(テストベッド)構成図

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